長大なリストを単にページ分割して表示することしかできないと、実務作業に支障をきたす場合がある
インスタンス・リストは、ページ単位で画面に表示するのが普通ですが、これだけでは適切な設計と言えないかも知れません。
フィルターの目的は、満足のいく検索のため、条件に合ったインスタンスのみを抽出した短いインスタンス・リストを高速で生成することです。必要な情報を探して毎度のようにページをめくっているようであれば、ページめくり機能に工夫を凝らす前に、フィルターでリストを「絞り込む」ことを考えるべきでしょう。
例えば人材管理システムを設計する場合、エンド・ユーザーがどのような条件で従業員リストを作れるようにしておけばよいか、条件をすべて挙げる作業が不可欠です。例えば以下のようになります。
· 名前により絞り込み
· 電話番号により絞り込み
· 駐在場所により絞り込み
· 役職により絞り込み
· 性別により絞り込み
· 誕生日により絞り込み
· 入社日により絞り込み
· 退職したけれどもまだファイルに記録が残っている者を抽出
· 資格により絞り込み
· 給与区分により絞り込み
· 雇用契約上の問題がない者を抽出
· その他
5000人分もの従業員データを扱うシステムの場合、1ページずつ順にリスト表示する機能しかなければ非常に使いにくくなってしまいます。
さらに一歩を進めて、インスタンス・リストを抽出するための標準的な「抽出条件」を、エンド・ユーザー自身が定義し、保存しておけるような仕組みを組み込むとよいかも知れません。
例えば新入社員が何か問題を抱えていないか調べて手を打つため、毎週月曜日の朝に、人事担当者が先週入社した従業員のリストを作る、というようなことが考えられます。
あるいは、毎週金曜日の午後に、ある事業所で出張作業している従業員のリストを作り、週末に帰宅するため特別な交通手段が必要かどうか電話で確認するようなこともあるでしょう。
このような場合、インスタンス・リスト全体を1ページずつ表示して目視で検索させるのではなく、条件を満たす者のみを抽出、表示する機能を検討してください。