1.3.2 ローカル・クライアントとネットワーク・クライアント
各開発者のデータベース(IBM i スレーブ)にクライアントを使用する場合、前述の長所と短所のリスト以外では、クライアントPCとサーバーPCのハードウェア仕様が大きな影響を与えます。サーバー仕様が低いと、ネットワーク・クライアントのパフォーマンスに大きな影響を与える可能性があります。強力なサーバーが使用できる場合は、ネットワーク・クライアント・モデルが可能となります。
更にIBM i スレーブが他と異なるのは、リポジトリが共有される点です。ですから他の開発者の変更が、直ちに作業環境に反映されます。これは必要な更新の場合もあるでしょうし、バグ修正の場合もあるでしょう。IBM i スレーブを使用することで、更なる制御が可能になります。そして、VCSマスターの独立ワークステーションだと、この制御を更に強力にすることができます。
ローカル・クライアント
長所
- ローカルPCのリソースはデータベース以外の全てに使用できるので、通常はネットワーク・クライアントよりも速い。
- コンパイルとビルドも一般的に速い。
- コンパイルしたオブジェクトは共有されないので、いつでもコンパイルできる。
欠点
- 各開発者がVisual LANSAを各自インストール・更新しないといけない。Windowsサーバーも同じ。
ネットワーク・クライアント
長所
- クライアントのフットプリントがごく僅か。クライアントに追加されるショートカットが少ない。
- 新しいLANSAのリリース時はサーバーのみの更新で済む。
- コンパイルやビルドに強力なサーバーのリソースを使用できる。
- クライアントのコンパイラの使用も可能。
- リポジトリは他の開発者の変更が常に更新された状態。
- 実行環境も他の開発者の変更が常に更新された状態。
欠点
- コンパイルしたオブジェクトが共有されるので、別の開発者が使用しているとコンパイルできない。使用されていないとしても、別の開発者がテストをする前のオブジェクトが影響して自身のプログラムに欠陥が発生する可能性がある。これにより開発が遅れる可能性もある。
- サーバーのリソースが効率よく使用されていないと、生産性が落ちる。
注:複数のクライアント・システムによりデータベースが共有されます。ですから、マスター・システムを使用している時のように、作成される余剰データベースによるメリットは期待できません。PCデータベースを消失すると、このデータベースを使用していた全ての開発者の前回のチェックイン以降の変更が失なわれてしまいます。ですから、クライント・モデルを使用する際は、しっかりしたPCデータベースのバックアップ対策を立てる必要があります。